BLOG

モデレートな健康ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. コラム
  4. アスリートの筋力トレーニングとして日常生活を見直すメリット

アスリートの筋力トレーニングとして日常生活を見直すメリット

アスリートの皆さんは日々厳しい練習や激しいトレーニングを行っています。その分怪我や故障を常に繰り返している選手が多くいます。
ふと疑問に思うのです。あんなに筋肉が太く発達しているのに、なぜ怪我や故障が多いのだろうか?
「一生懸命休まずやっているのに記録が伸びない…」「パフォーマンスが向上しない…」そんなプロスポーツ選手、オリンピック選手、学生スポーツ選手を医療現場で数多く診てきました。
特に、私は女子バスケットボール選手のACL(膝前十字靭帯)断裂手術後の競技復帰に多く関わってきました。全員5〜6ヶ月でフル復帰しています。
その時の選手に決まってかける言葉が「怪我する前に戻るではダメ、怪我する前よりも強くなって戻るよ」です。
一見、厳しい言葉のように聞こえますが「怪我は起こるべくして起こった」と私は考えています。つまり、怪我をする前というのは、いつ怪我をしてもおかしくない状態(パフォーマンスの低い状態)だったということです。だからこそ怪我とは縁遠い状態で、以前よりも思い切って動けるレベルへ引き上げることがフル復帰のラインというわけです。

あるバスケットボール選手のご家族からこんな言葉をもらいました。
「怪我する前よりも足が速くなって、スリーポイントも以前より遠くから入るようになりました!!」怪我の前よりもパフォーマンスがあがったことを実証できた事例です。

競技復帰プロセスで最も重要視していることが、徹底的に歩かせ基礎をしっかりと作ることです。そして、日常生活動作の全てから庇う動作をなくし、機能的に最も力を発揮できる動作を意識的に繰り返してもらいます。これは日常生活の延長線上に競技があると認識してもらうことにもつながっています。

最近の練習時間は、休養も重要という観点から2時間ぐらいの短期集中に変わってきました。練習に2時間、睡眠に8時間、食事に3時間費やしたとすると残り11時間の日常の過ごし方が大きく影響します。日常生活で何気なく行っている動作は、自然と習慣になり機能的な動作を行っていればパフォーマンスが向上しますが、偏った動きが癖になっていると関節摩耗、筋肉疲労などにより故障の原因となります。
関節に関しては消耗品と考え、必要最小限の反復練習で最大のパフォーマンスを発揮させるお手伝いを。筋肉については、筋力をつけることを基本とし、その筋力が発揮しやすい状態をつくることを念頭に置いています。いくら太くてしっかりとした筋肉があっても発揮できなければ意味がありません。

一流選手の所作は、無駄がなくスムーズで美しく感じます。そして歩き姿は自信に満ちあふれて颯爽としています。一流選手のパフォーマンスは、観る者を魅了し感動を与えますが、その高いパフォーマンスを長年続けられるのは、ナチュラルな日常生活の動作、颯爽とした歩きを身につけているからです。
スポーツを愛するからこそ、アスリートの方々には「いつまでも我々を楽しませてほしい!」と願ってやみません。だからこそ、そのサポートに真摯に向き合うことを信条としています。

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。」by イチロー

written by Futoshi Sakata